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ハワイで3年に一度開催される「ハワイ・トリエンナーレ2025(HT25)」が楽しい!思わず興味が湧いちゃう♪直感的にアートが楽しめる「インスタレーション」を体感しよう!

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ツアー&体験
2025/04/17 17:00 2025/04/17 18:01 UPDATE

ハワイで3年に一度のアートの祭典「ハワイ・トリエンナーレ2025H T25)」が現在、ハワイの美術館や博物館、公園などを舞台に開催されています。アートを身近に感じられる「インスタレーション」という手法が取り入れられており、アートに詳しくなくても作品の世界観に没入できたり、アートに込められたメッセージを直感的に楽しめるところがこの展覧会の魅力です。知らなかったハワイの素顔を見ることで、ハワイへの理解や愛がより深まるはず♪記事では、主要な展覧会場の様子や作品の一部をご紹介します!

※掲載している情報は2025年4月17日現在のものです。

ハワイ・トリエンナーレ2025はどんなアート展?

ハワイ最大の現代美術展「ハワイ・トリエンナーレ2025HT25)」が、2025215日から54日までの78日間にわたり開催されています。

 ​今回のテーマは「ALOHA NŌ(アロハ・ノー)」。​

とは、ハワイ語で強調する際に使われ、「本当のアロハ」「まさにアロハ」といった意味を持ちます。「アロハ」を単なる挨拶ではなく、「人と人との関係性を大切にする行為」として捉え直し、アロハの本質を見つめ直すことがコンセプトになっています。

 また、「ノー(NO)」=拒否・抵抗というダブルミーニングでも使われており、植民地主義や資本主義的な歴史観に対する「抵抗」の意志も表現しているのだそう。

HT25HUBに展示されているカール・FK・パオの絵画

ビショップ博物館に展示されているカプワニ・キワンガの作品

 

このトリエンナーレの展示は、オアフ島、マウイ島、ハワイ島の3島にまたがる13会場で展開され、49組ものアーティストが参加するスケールの大きさも特徴。オアフ島では、ホノルル美術館やビショップ博物館、ハワイ州立美術館(現・キャピトルモダン)をはじめ、植物園やフォート・デルーシー(米国陸軍博物館がある公園)などパブリックな場所にも作品が展示されているので、トリエンナーレ開催中、何気なく立ち寄った場所でアートと遭遇できるかも?!そんな楽しみ方もできるトリエンナーレ・ハワイは、「絵画や彫刻はよくわからなくて…」という方も気楽にアート体験ができるイベントです。ぜひ一度、お散歩感覚で足を運んでみることをおすすめします♪

会場では、チケット購入の際にガイドブック(英語版)がもらえるほか、スマホでQRコードを読み取るとデジタルガイドも入手可能。デジタルガイドは日本語版もあり、トリエンナーレの概要や各会場の開館日や開館時間、キュレーターやアーティストのプロフィールなど、詳しい情報が網羅されているので、ガイドブックと併用して活用すると便利&安心です。

ハワイ・トリエンナーレ公式サイトはこちら>>

フォスター植物園で「インスタレーション」の世界に浸る♪ アートを直感的に楽しめる「インスタレーション」とは?

では、今回のトリエンナーレの会場、作品をいくつかご紹介しましょう。今回のトリエンナーレは、アートを「鑑賞する」というよりは、インスタレーションという展示手法によって「観る人がその空間に入り込んで、アートの世界観そのものを楽しめる」ことが何よりの見どころ。それをわかりやすく体感できる展示会場としておすすめなのが、フォスター植物園です。

ちなみに「インスタレーション」とは、絵画や彫刻のような完結した一つの作品とは異なり、「空間全体を作品として構成する手法」のことです。作者は、作品を置く場所(屋内・屋外・天気など)の特徴を活かして、音、光、匂いなども作品の中に取り込みながらアートを演出するので、観る人はその空間に入り込んで五感を通じて作品を体感できる楽しさがあります。

さて、植物園に展示されているのは3組のアーティストの作品。いずれの作品も、園内に特に柵などを設けずに展示されているので、知らないとアートだと認識せずに通り過ぎてしまうかもしれません。日常とアートの境界線がなく、ふと立ち止まってアートをいきなり鑑賞する、という新鮮な感覚を味わうことができるのも「インスタレーション」という展示方法のいいところです。本当にしれっとそこにあるので、うっかり見逃さないようにガイドブックで展示場所をチェックして、観に行ってみてくださいね。

 

 

 

一見、遊具のようにも見えるこちらは、アート・レイバー+Rチャム・ティによる作品。竹で作られた大型の楽器なのだそう(!)。近づいてみると、確かに風に揺られて竹同士がカランコロンと音をたてることがあって、なんとも素朴で優しい空間が広がっています。風鈴ならぬ、風竹。風の具合で音も変わるので、いつまででも聴いていたくなるような平和な世界に身を委ねて、思わず時間を忘れて作品に見入ってしまいます。

 

作品のところどころにかわいい動物モチーフのオブジェが乗っかっていたり、変顔(に見える)の人型木彫り人形がいたりして、おもちゃのような楽しい世界観にも心が動きます。この大きな楽器のような、おもちゃのような、遊具のような作品を見て何を感じるのか?それが人それぞれ異なるのもアートの面白いところです。インスパイアされるものがきっとあると思うので、ぜひ自由に楽しんでみてください。

アーティスト:メリッサ・キメラ

 

アーティスト:ブランドン・ン

 

フォスター植物館の他の2作品をチョイ見せ。アート・レイバー+Rチャム・ティの竹の打楽器とはまた違ったインスタレーションが楽しめます。

 

フォスター植物園
住所:180 N Vineyard Blvd, Honolulu, HI
開館時間:9:0016:00
電話番号:808-768-7135
入園料:大人$5(カマアイナ$3)、子供(612歳)$1
https://www.honolulu.gov/cms-dpr-menu/site-dpr-sitearticles/568-foster-botanical-garden.html

ちょっと足を伸ばしていく価値あり!ビショップ博物館

次にご紹介するのはビショップ博物館。こちらでは9名のアーティストの作品が展示されています。ところで、今回のトリエンナーレの会場となる美術館、博物館では、それぞれ展示テーマがあり、ビショップ博物館では、「ハワイの歴史と文化」に焦点を当てた展示が行われています。

これはメインとなるハワイアンホール。1889年創立で、ハワイ王室の系譜やハワイの文化を後世に伝える目的で建てられたのだそう。外観はネオ・ゴシック風の石造りで趣きがあり、中は3階建ての吹き抜けになっています。ここに展示されているハワイやポリネシアの歴史にまつわる展示物も圧巻の数とクオリティで迫力満点!ぜひトリエンナーレと併せてお楽しみください。

 

トリエンナーレの展示は、敷地内奥にある「キャッスルメモリアル ビルディング」にて行われています。室内展示ですが、音声や映像を駆使した展示や、マテリアルを使った作品が多く、室内ならではのインスタレーションを楽しむことができます。

 

 

カプワニ・キワンガのサイザル麻を使った作品。サイザル麻とは、19世紀のアフリカのプランテーション作物として栽培されており、当時100万人以上の労働者がサイザル麻を栽培していたと言われています。この作品では、サイザル麻を用いて、「植民地化」「土地の変容」「商業化」といった“負の遺産”を表現しています。

 

ここで、「ハワイのアート展なのに、なぜアフリカをテーマにした作品があるの?」と疑問に思った人もいるのでは?そう、筆者も同じこと思いました。そこでちょっと調べてみたら、今回のトリエンナーレでは、ハワイやポリネシアン文化圏に留まらず、植民地主義や帝国主義の歴史を共有した地域とも連携していこう、というグローバルな視点も意識されており、アジアや太平洋、アフリカなど、世界の“周縁”とされる地域や人々にもフォーカスしていくというコンセプトがあるのだそう。アフリカとハワイ・ポリネシア地域は物理的に離れているけれど、過去の抑圧や植民の歴史での経験は重なる部分が多いことから、こうした共通の経験をアートを通じて繋いでいこう、という意志のもと、作品が選ばれているのだそうです。

 

 

エミリー・カラカによる連作絵画。ハワイ島の火山の生命力を探求し、土地やその人々と深く結びついたマウナ(山=神聖な存在)を描いたもの。作品に近づいて筆致なども間近で見られるので、筆の勢いや画材の盛り上がり、鮮やかな色使いなど、絵から滲む迫力、情熱を味わってみてください。

 

 

オアフ島生まれのアーティスト、ナラマクイカポ・アシングの作品。彼と彼のパートナーがハンドメイドした漉き紙を用いて、太平洋にある4万もの島々が、6400万平方マイルもの海でつながっている様子をイメージしています。11枚の紙を見てみると、和紙を思わせるような柄が描かれていて、遠目で全体を見たり、近づいた細かな紙の質感や模様からインスピレーションを得たり、色々な角度から作品を楽しむのもおすすめです。

 

ビショップ博物館
住所:1525 Bernice St, Honolulu, HI
開館時間:9:0017:00
電話番号:808-847-3511
入館料:大人(18歳以上)$33.95(オンライン購入$28.95)/カマアイナ$19.95
シニア(65歳以上)$30.95(オンライン購入$25.95)/カマアイナ$17.95
子供(417)$25.95(オンライン購入$20.95)/カマアイナ$15.95
4歳未満:無料
https://www.bishopmuseum.org/

 

ワイキキからも行きやすいキャピトル・モダンではコンテンポラリーアートから絵画・彫刻・写真など様々な作品との出会いが楽しめる

ダウンタウンにあるキャピトルモダンは、ハワイ州立美術館だった施設が2023年にリブランディングされて生まれた現代アートスペース。ハワイ州庁舎にも近く、ワイキキからbikiThe Busで気軽にアクセスできる場所にあります。

こちらでは14名のアーティストの作品が展示されています。インスタレーション作品と合わせて、絵画や彫刻、写真、過去の史料など幅広いアートに触れ合うことができます。

キャピトルモダンでまず出迎えてくれるのが、ベルリンとエルサレムを拠点に活動するジュマナ・マナによる展示。手作りの旗が重要な役割を果たしたパレスチナの集会、歴史からインスピレーションを受けた作品なのだそう。

 

 

ハワイ文化の視点から日本の盆栽を再解釈し、アートで表現することで知られるカヒ・チンによる「ウハネ ラアウ」シリーズ。展示される作品は、オアフ島に生息する様々な在来種、外来種の広葉樹から作られています。見る角度によって様々な表情を見せてくれる不思議な樹木のアートで、木々の自然な姿とはまた異なる造形の美しさに引き込まれます。

 

カピオラニ・コミュニティ・カレッジで27年間ドローイングと絵画を教えていたラッセル・スナベの絵画も観ることができます。一目見るだけで様々な想像が膨らむスナベ氏の作品は、タロイモやサメ、イノシシなど、ハワイに根ざした生き物が登場することも多く、独特の温かい眼差しを感じる作風は初めての人でも鑑賞しやすいのではないでしょうか。

 

 

ご紹介したのは展示作品のほんの一部なので、興味を持っていただけたらぜひ直接キャピトルモダンでアート体験を楽しんでくださいね。

 

キャピトルモダン(旧ハワイ州立美術館)
住所:250 S King St. 2nd Floor, Honolulu, HI
開館時間:月〜土 10:0016:00
電話番号:808-586-0900
https://www.capitolmodern.org/

 

 

ご紹介した以外にも、ホノルル美術館、ホノルル・ハレ(市庁舎)など、ワイキキからアクセスしやすい場所でトリエンナーレの展示が行われています。また、会期の5月4日(日)までの間に、色々なワークショップやアートツアーなどのパブリックプログラムも開催予定。直近では4月20日(土)にフォスター植物園にて、インスタレーション展示を行なっているメリッサ・キメラ氏と、植物園のキュレーター兼植物専門家であるタリア・ポートナーさんによる「トーク&ウォークイベント」が開催されます。イベントの詳しい内容や、他のプラグラムについてはハワイ・トリエンナーレのウェブサイトでご確認ください。

ゴールデンウィーク中も開催されているハワイ・トリエンナーレ。ハワイ旅行のご予定がある方はこの機会をぜひお見逃しなく!ハワイに滞在中、在住の方々も、五感を使ってアートを味わう「インスタレーション」の楽しさをぜひ体感してみてください。

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